gasonの徒然なるままーに

不惑になるのはいつのひか

本 - 幻惑の死と使途 - 森博嗣

ピエロのようなメークで映画プレステージを思い出し、「名前が認識」の下りで胃酸(遺産?)が逆流するかのように、自分にとって良い毒でした。S&M シリーズにおいて、萌絵の行動は今作も変わらないけれど、それを見つめる犀川が変わってきつつあるのが、ま…

本 - 虚談 - 京極夏彦

マイナーなゲームに「厄 友情談義」ってのがあって、「ぜーんぶ嘘!」と言葉があったのを思い出した。読後感は、文章を語っている一人称の存在が不気味であり、それぞれの出来事に遭遇したことを記録した存在はどこにあるんじゃろな。という魚が切り身で泳い…

本 - 魍魎の匣 - 京極夏彦

こんな小説が出てしまうから、「本格」ミステリとかいう言葉が生まれちゃうんじゃないですかね。本格もミステリもある意味度外視して、人非ざる導入から京極堂の恐ろしい論理が示す先には、恐るべき原始的で先端実験が待っていた。こんな妖魔のようなことは…

本 - 姑獲鳥の夏 - 京極夏彦

恐山では能力のために視力を奪う歴史がある、などのうんちくがありながら、極めて異質というか妖気を感じさせながらも現実世界に帰ってくる、この感覚はやめられない。 「姑獲鳥」は「産目」だったのかもしれないな、と思いつつ、事件そのもの以上に全体像と…

映画 - ワイルドストーム

まず台詞がテンプレート過ぎる。そしてストームが重要な役割かというとそうでも無い。 ストームにより失った家族を思い、しかし戦うのは災害泥棒。 友情、裏切りなどあるもやはり台詞がテンプレートなので没入出来ない。 嵐で悪党がパッと飛んでいく!を期待…

映画 - パーフェクトルーム

男の敵が男的な。 裏のかき方が、物理的には下品ですが論理的には程々に紳士です。一つの部屋があり、それを良い歳をした男たちが秘密の部屋として使う、という発想が好き。 また、裏切りの発覚のさせ方が歪んでいるのも、独自性として好み。 しかし、なんと…

映画 - ダークハウス

おバカな学生が忍び込んで、、、という超絶王道飽き飽きストーリーではない。 ただ、時間の短さもあって人物の相関が色恋以外があまりなく、血縁としての悪魔の器としての魅力に乏しい。(主人公というか) 刑事ももうちょっと哀しみを背負って強引であった…

映画 - 殺人の追憶

最初は田舎と都会の人の渡世についての皮肉モノか、と思わせつつ、悲惨さをきっかけにしっかりと泥沼に足を突っ込んで捜査を始める。 悲惨さの描写は秀逸と思うが、同情の描写はやや物足りないかなという印象。とはいえ、無垢な少女に貼ってやったバンソウコ…

本 - 伊藤計劃/虐殺器官

虐殺の文法が脳内に組み込まれている、と書くと実に不完全な気がする。 脳内が文法に支配されないと盲信している文法があるように。 ハーモニーを先に読み、メタルギアが著者と同じくらいに好きな私として、 自分の周囲を地球のような球体で囲んで、他を先に…

映画 - 9人の翻訳家 囚われたベストセラー

翻訳、は一つの哲学。自分の言語で世界を再構築する。 盗作はどうか。 作品をただ売名する行為はどうか。 世界を揺るがす作品をかけるから、ささやかな復讐を果たせた? 復習のために翻訳できる人を集めた? そこに自分の作品を信じている部分があるからこそ…

映画 - テロ、ライブ

マスコミと政治の両刃を研ぐ人がいないのは、ここ何十年なのか若輩者の私が語れはしないです。 テロの動機は分かりやすい。そして、踊らされるキャスター(DJ)も分かりやすい。分かりやすいものは分断によく巻き込まれるとは漢字が表しているなと思うばかり…

映画 - アトラクション

序盤の、水で「あぁぁぁ!」という辺りまで、とっても好き。その後は定型的に事が運んだな、という印象。 宇宙からの意志と地球地上からの意志がぶつかり合う、ような展開を期待していたが、親子や恋人といった関係描写が多く、最終的には親が娘を得体のしれ…

映画 - 危険なメソッド

哲学に触れる際に避けて通れないのが自分の存在。最終的にユングとフロイトを分かつのも自分の存在。 一人、「破壊的なぶつかりが創造する」という女性こそが二人を破壊したのが痛快といえば痛快。 ただ、写実的な映像は無駄を省いた美しさをつかの間、くれ…

映画 - ヘッドハンター

168cm、が魔法の言葉にはならず。ただ、ハメられて必死にボットン便所にまみれてあがく姿にはクスッときた。 タイトルからしてエリートを醸しながら開始数分でセコめの泥棒とばれてしまうのは良いにせよ、どうも感情移入がしにくい。 何を手に入れようとして…

映画 - サマー・オブ・84

幸せそうな環境で、微笑ましく子どもたちが探偵ゴッコを演じていたら狂気にぶちあたったでござる。 という感じで、子どもの個性はあり、終盤までは犯人が犯人らしくなく描かれるあたりなんとなしに楽しめる。 ただ、エンドにあるような平和なところにこそ狂…

映画 - ダーク・プレイス

社会的映画、というのはそれを楽しむものなのかなと思いつつ、予定調和 な話の進み方が、観ていて揺さぶられませんでした。 移住後の貧困、その解決策としての保険金、悪魔崇拝、子どもがいると自分が認める。 個人の思いというよりも、社会にそしてそれを司…

映画 - ゾディアック

僕はこの映画が好きだ。それは好奇心を超えたところにある、執念というものを年月経過を得ながら描いているところだ。 結論としては、不毛かもしれない。しかし、私が映画として想像力をもっともかきたてられるのは、なにか信念を持って不明にあたる姿であり…

映画 - コンテイジョン

リアリティ、でいうとCDCメンバが羅漢・ワクチンを巡っての誘拐暴動 などなかなか。 エンタメでいうと、特に思いつかない。DAY ○ ○ は無情さを表現しようとしているが、本当に無情で、希望があるとすれば出来レース8割の優先順ワクチン接種しかない。 どうも…

映画 - セイフ

王道、といわれるくらいステイサム。 「マフィアのボスが立て続けに消されてきた、まさに最強の一手だ」と言わしめてしまったら、そりゃあ何でもあり。 しかしそこは痛快によく描かれており、中国、ロシア、NYポリス それぞれに平等に容赦ない。 天才である…

映画 - クワイエット・プレイス

音が出せないならでは、の恐怖の前菜がほしかった。 一番ちいさな子どもが序盤で襲われるが、家族という観点でみれば大きな悲しい出来事。 しかし音が出せない、をより強調するために 「こんな世の中だから騒音クラスの音でゴキゲンな音でドライブするぜ」と…

映画 - ☆ホワイトタイガー

戦争で相手にしているのは亡霊。 ヒトラーの台詞もそうだし、何より戦車の神様が「天から」見ているという主人公のおそれは行き着く先に何もないことを示唆しているのだろう。 20年たっても、50年たっても表れるホワイトタイガーは、あるいは姿形をかえて、…

映画 - ☆ホワイトタイガー

戦争で相手にしているのは亡霊。 ヒトラーの台詞もそうだし、何より戦車の神様が「天から」見ているという主人公のおそれは行き着く先に何もないことを示唆しているのだろう。 20年たっても、50年たっても表れるホワイトタイガーは、あるいは姿形をかえて、…

映画 - オキュラス/怨霊鏡

平均点ホラー、より大いに楽しめました。 ほとんど意味をなさないであろう、「現実」の証明をセットして、そのうちの電話で目の前の死んでいる人間から電話がかかってくることそしてその前後で時間軸、あるいは現実/夢が不透明になっていること、絡み合って…

映画 - ハウス・ジャック・ビルト

芸術でもなんでもなく、語るに生きるに必要なだけだっただけで。 シリアルキラーとして、どれほど異彩放つか、という終盤はじめまでの描き方からラストの阿呆のような落ち方がまさにオチである。 真の魑魅魍魎の世界に飛び込むが良い、というようでエンディ…

映画 - ガード・オブ・アウシュヴィッツ

大変に自己欺瞞でこの映画における監視、殺戮側かもしれないが、英語で無い方がよかった。 それくらいに、静かに虐殺が進行してしまい心の動きと体の動きの激しさのマッチしない現実みがある。 感情移入などはもちろん難しく、こんなときに自分はどう考える…

★映画 - 男と女 人生最良の日々

ああ、これこそ映画だ。 逆ニュー・シネマ・パラダイス 現実は映画であり。映画が現実。 語られる全ては映画のようで現実で。台詞は50年のときを埋めるのではなく、50年のときをなぞる。 空想した映像から覚めると新たな入居者がきて映画について問うてくる…

映画 - キューブ

最初は助け合おう。しばらくしたら、どうすれば私が助かるか。その一点の描き方が非常に秀逸。 それは、徐々に希望が薄くなっていくと他責的になり、かといって他人に自分の希望の責任を追わせるなど、とにかく寅さんとは逆の時間軸を描いている。 気づけば…

映画 - 殺意の誓約

娘が生まれた瞬間から遡って、あまりに重い心が娘を逆に追い詰め、苦しめる。娘を苦しめるような人間に対しては何をやっても良いか? というのは、すべて父親の主観でしかなく父親以外の意見、すなわち客観的には拘束していたのは娘の彼のみならず、娘そのも…

映画 - サーミの血

自分が属するもの、の流浪の映画である。 差別的な扱いもそこにはあるが、差別そのものよりも自分がどこに行っても、まるで帰る場所では無いと告げられるように、行く先々で居場所の無さを感じる。 そこで出生から考えてみるに、囚われているのは部族という…

バッド・ヘアー

髪が一種の人間判断兵器であることは間違いない。けど、髪が襲う様があまりにもシュール、というより滑稽でそれまで悩んでいた昇進問題も嘘のようだ。 この映画のヘアーなメイキングも観てみたいものだと思うばかり。風刺的な描写も、推測させるに過ぎないか…