gasonの徒然なるままーに

不惑になるのはいつのひか

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

伊坂幸太郎 - 死神の浮力

千葉さんが側にいると楽しい。死神なのに、、、読者から見ても不思議だ。しかし思えば、死というものと向き合ってみると、そのぶん人生を濃くしようと必死に生きる。結果楽しくなるものだよな。といって死のことを思って思って思い続けてもやっぱりよく分か…

★星新一 - ようこそ地球さん

星新一を読んでいると、普段読む数百ページで一つの物語とはなんだったのか、と思うことさえある(もちろん、種別の異なる面白味があることは都度おもう)。「処刑」を読むと同著者の「旅のラゴス」(こちらは長編)と表裏の関係に感じられ、ずっしりと重み…

★生田 與克 - 日本一うまい魚の食べ方

優しさにあふれた本。江戸前の口調はさっぱりとしているけれど、その分直接ひびいてくる。「ナメタガレイはズルズルネッチョリしているけど、煮付けるとそこに煮汁が染みて、ゼラチン質でたまんないよっ!」実にうまそう!魚や自然が本当に好きだから、旬を…

太宰治 - 斜陽

貴族の生活はきらびやかである印象があるが、斜陽の中での貴族の生活はどこか薄暗い闇の中にあるかのようだ。スゥプを飲む仕草、それに言及しているのがいかにも貴族なのだが、その描写方法にどこか出口の無い閉塞感を感じる。貴族の持つ陰鬱さが、あるいは…

東野圭吾 - 探偵ガリレオ

面白い。しかし何が面白いかといわれると挙げられない。湯川教授が絶対的存在で、事件発生後に溜めて溜めて現れたら解決するような唯一無二の存在なら、各話が面白いかも。解決に向かうまでがややタンパクなんだよなぁ。面白いという感想が、ドラマ・特に福…

池井戸潤 - ようこそ、わが家へ

ストーカーと会社問題の並行物語。人間の奥底に潜む恐怖が絶妙に表れており、物語に没入した。1つめはネット普及以前、知っている人から受ける恐怖。2つ目はネット普及後、知らないはずなのに知っている世界の常識ややり方を押し付けてくる人からの恐怖。ま…

海堂尊 - ジーン・ワルツ

専門的な知識と小説としてのストーリー性(読みやすさ)とが、絶妙なバランスとなっていて、感心&面白かった。【地方医療 x 官僚】や【女性の理屈抜きの母性 x 理屈上の生死や善悪】の構図が常に心を揺さぶってくる感じ。僕は理屈っぽいところがあるので、…

重松清 - ファミレス

食育とか概念を持ち出す前に、まずメシを食おう。読後にすごく食への渇望。それは描写が美味しそうであることもあるが、何より食事を通して人間がいかにリセットでき、前向きになれるかが描かれているから。むかーしから、美味いもんを出してくれる人には感…

樋口穀宏 - タモリ論

タモリとは何たるやというより、私はタモリが好きなのよ、という内容の本。タモリにさんま、たけしを交えてテレビの盛衰を語る。正直なところ、タモリ好き好きオーラにちょっと辟易もしてしまったが、何よりこういった本が存在することもまた、タモリの凄み…

筒井康隆 - 時をかける少女

2015/08/03「突拍子もない話をこれからするから、信じてもらっても、もらわなくてもよい」という一文を現実社会で使ってみるのが、いっときマイブームでした。 2013/07/22時間の可逆性に関する物語が大好物ゆえ、とても楽しめた。筒井作品の時間軸をかける登…

宮部みゆき - R.P.G.

2013年に読了。読むと、実生活と仮想の生活での存在が曖昧になっている描写が自然に感じられたのが我ながら怖いなと。違和感なしにARな感じ。理屈は分かるが腑に落ちないという、終盤の描写になんか共感してしまったな。小説としては、オーソドックスな感じ…

真保裕一 - 連鎖

ミステリーとしては淡泊。ドキュメンタリーとしては濃厚な作り。リアリティが有り過ぎて、小説としての面白味がもうちょい感じたかったなー。

伊坂幸太郎 - SOSの猿

西遊記が交わるシーンが随所に出てきて、良くいえばオチへの布石、そうでなければ混乱させる不明感。僕はちょっと混乱させられて、読み進めるのにブレーキがかかってしまったかなー。二人の主人公が交互に語られる文体は好きでした。なんか筒井康隆のような…

村山 斉,高橋真理子 - 村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか? ビッグバンからヒッグス粒子へ (朝日新書)

宇宙がビッグバンによって出来た。出来る前はどうなってたか、そして今後宇宙はどうなっていくのか。純粋に好奇心をくすぐられ、面白かった。

★岡嶋二人 - クラインの壺

2018/03/09PepperやAmazon Echo, PS VRの時代に再読。まだまだ現実と仮想の間には距離があるよ、と思ってるそこのあなた。まさに今味わってるのが夢かもしれんよ。という自分と世界の存在を疑いはじめてしまう、違ったアプローチの哲学SFはとてもおもしろい。…

金城一紀 - フライ、ダディ、フライ

結局、主人公のオッサンは何に向かって進んでいるんだろう、そんな風にふと我に還ることをオススメしない作品。ヒーローが悪者を倒すという簡単な構図のように、オヤジはムスメのために、ムスメを泣かせたやつを許せないのだ。逆に、そんなことがヒーローと…

プラトン - メノン

この手の本は初めてに近い。答えをひたすらに求めるメノンと追求を続けるソクラテスと。何が偉いと決まってはいまいと思うものの、好奇心の多いことがこのような文体として残るし、何より当人の記憶にも残ったことだろうなと思う。(史実であるかも知らない…

★筒井康隆 - エディプスの恋人

初めての筒井作品でした。SF、物理的な作品と精神的な作品と。ややもすると精神的な作品は中二病と揶揄されたりするかもしれないが、壮大な想像は他の人を巻き込むパワーがある。複雑なif文の果てにある今、何かトキメキを感じることがあるなら、運命といっ…

伊坂幸太郎 - バイバイ、ブラックバード

悪気のない浮気ほど面倒なものはない。そんな男と絶妙な怪物系の女性の各キャラクタがちょうどいい。

サベージ・キラー

- 攫われ侵された耳の不自由な女の子の憎悪と無念- 長い年月迫害を受けてきた小さな民族の恨み 2つの復讐が1つのかなしい身体に宿って、緊張感ある殺人がおこなわれる。 バーので振り返った際に女の子が立っているホラー感はしっかりしているし、壊れゆく身…

セルラー

携帯電話一本というか細い手段が効果的に使われている。壊れる、電波が途切れる、音が聞こえないなどなどさまざまな携帯電話ならでは、の窮地をハラハラさせる描写。 「誰かにつながれ」というポケベルな時代の"楽しみ"がそのまま"悲壮・切迫感"に変換された…

シャイニング(1980)

執拗なまでに三輪車を漕いで駆けるシーン、これが禍々しい場所へ向かっているかのようで、非常に緊張感を高める。 狂う才能を序盤から見せる(特に表情)が完全に狂って、目がイッちゃってるところは、素晴らしい演技と思う。 音の使い方、台詞、空間の使い…

★セブン

この街にずっと住んでいると嫌なことが見えてきてね、、、という伏線台詞が印象的。 人間が最愛を奪われて、ゆえに復習することは大罪だとするならば、永遠に罪の存在を知りながらも背負っていく方が、よっぽど納得がいくし、そんな風に思うから人間なのだろ…

グレイティスト

冒頭はなかなかに掴まれる。 しかし、被害者男の子の両親が必死に息子の最後の心境を知ろうとする中、恋人の女の子は「せめて路肩に寄ろうよ」といったのに、それが聞かれなかったために事故に遭ってしまったこと。それが最後まで伏せられて、美談が進んでい…

★隣人は静かに笑う

隣人という最も身近な他人に、一度恐れを抱き始めると止まらない。膨らんだ恐れは得体がしれず、どうしても過去に起きた事件、爆弾魔としての過去を洗うと罪の疑念はあるも確証がない。 緊迫を終始保ち、救いのないエンド。 面白いというか、心臓の鼓動が早…

★ナイトクローラー

表情が一つ一つ無を感じさせるルイス・ブルーム。 映画という形で切り取って切り取って、非情に感じるものの、カネカネな世の中にこんな人って実は半数くらいの割合なのでは。 自分自身もそうかもしれない。だとしたら、カネカネを責められるだろうか。 映画…

ザ・セル

犯人の狂気をその所作で示すのでなく、深層心理を映像美として描き出しているところが面白い。 抱えるトラウマ、それを基にした全能の恐ろしい存在、入り込んでいき、いいように侵されるシーンは恐怖をかき立てる。 ただ、逆に捜査官の心理に犯人を呼び込む…

マシニスト

罪の呵責によるひどい錯乱。罰を受けてない罪とはこんなにも人を破壊するものか、と唖然とするほどに激ヤセ、幻視、焦燥、、、 さだまさしの償い、龍が如く4の冴島大河、あたりを思い出しつつ、向き合うことの怖さと向き合わないことへの怖れを味わえました。

メメント

ん?これってもしかして時系列が逆?という疑問を持ちつつ、逆の可能性をもって視聴を進めるのが非常に疲れた。 通常の時系列で流すと、非常にオーソドックスなシナリオと思うが、逆にすることで思い込みと現実のはざまが曖昧になり味わい深くなるのか。 そ…

フローズン・タイム

動を静に変える美と、静の中に動を見出す美とあると思う。 たとえば、この作品のように一瞬の中に永遠を求める美と、ただ道を歩く中で静なる風景をそこはかとなく見ながら、ふとしたときに変化を感じる美と。 失恋により時が不意にとまってしまって、その中…