gasonの徒然なるままーに

不惑になるのはいつのひか

三津田 信三 - 蛇棺葬

恐怖の対象が明確でない恐怖。何に追われているのか分からなく、暗闇の中を這うように逃げる場面がとても怖い。舞台には日本固有の歴史観や風土があり、その排他的で呪術的な雰囲気が、恐怖に一層(妙な表現だが)華を添えているように思う。ただ少し冗長な感も。数多の恐怖描写がありそれぞれが確かに怖いが、描かれる恐怖の内容が似ている。まぁ、日本的な怖さというのは、そうやって同じ恐怖を繰り返し繰り返し描くことで、積み重なったり、底なしに嵌っていったりするものなのかもしれないが。