gasonの徒然なるままーに

不惑になるのはいつのひか

ザ・セル

犯人の狂気をその所作で示すのでなく、
深層心理を映像美として描き出しているところが面白い。

抱えるトラウマ、それを基にした全能の恐ろしい存在、
入り込んでいき、いいように侵されるシーンは恐怖をかき立てる。

ただ、逆に捜査官の心理に犯人を呼び込むシーンは、
当然せつなさを感じつつも、なにか物足りなさ、違うのではないか
という印象をもった。

犯人の心理は今なお危うい、だからこそ全能の存在をもつ心理に
恐怖を感じていたところ、
捜査官の心象風景の中で無力化され、
子ども時代のような儚い存在に戻されてしまう。
なんと儚いことだろう。

事件そのものの残虐性の描き方に物足りなさを覚えつつ、
深層心理に入り込む展開は好みでございました。